現在の木造住宅は、「家の強さ」という意味でいうと、柱自体は折り込み的にそれほど重要な役割を担っていません。最近の家では「九〇ミリ角の柱」が多く使われていますが、この程度の太さの柱単独では、「地震の水平力」に対する抵抗力がそれほどないことかわかっているからです。「大きな力」がかかれば変形してしまうのです。それならもっと「太い柱」を使えばいいようなものですが、コスト的にも、自然環境を守るという意味でも、大きな木を切り倒して単純に柱を太くするわけにはいきません。そこで従来の柱に代わって「家の強さ」を生み出しているのが壁なのです。その際、壁の強度を保つのに使われるのが筋交いといわれるもので、これは壁が変形するのを防ぐために、対角線方向に入れる斜めの材料のことです。Tさんとの問答でも、阪神淡路大震災で筋交いの重要さが大きくクローズアップされたことを指摘しましたが、日本で壁に筋交いを入れるようになったのはもっぱら関東大震災以降です。それまでの木造住宅は、柱と梁で家の仕組み(骨組み)を構成し、壁は土塗りしただけでした。梁は厚さが約一〇ミリ、幅が約一〇〇ミリ、長さが四メートルの板材です。このように柱と梁で仕組みをつくる住宅は、古い和風の木造住宅に多く、昭和二十年代まで建てられていました。これに対して壁に筋交いを入れると、壁の「強さ」や「硬さ」が格段に大きくなるのが特徴です。
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